行列式の基本的な性質とその証明

最終更新 2017年 7月8日

概要

  行列式における
● 行や列の入れ替え
● 同一の列ベクトルを持つ場合
● 列ベクトルが定数倍された場合
● 列ベクトルが和で表されている場合
● ある行に別の行を加えた場合
などの基本的な性質であるを以下にまとめる。 これらの性質は行列式に関連する証明や計算を行うときによく現れる。 個々の性質には証明へのリンクが付けられている。

行や列の入れ替え

  行列 $A$ の $i$ 列と $j$ 列を入れ替えた行列を $A^{(i\leftrightarrow j)}$ とすると、 その行列式はもとの行列式と符号だけ異なる。 すなわち
行列式の列の入れ替え
である。
  また、 行列 $A$ の $i$ 行と $j$ 行を入れ替えた行列を $A^{(i\hspace{1mm} \updownarrow \hspace{1mm}j)}$ とすると、 その行列式はもとの行列式と符号だけ異なる。 すなわち
行列式の行の入れ替え
である。
行や列の入れ替えの証明はこちら

同一の列を持つ行列式は $0$

  $n $ 次正方行列 $A$ の $i$ 番目と $j$ 番目の列ベクトルをそれぞれ $\mathbf{a}_{i}$, $\mathbf{a}_{j}$ $(i\neq j)$ とし、 行列 $A$ を
と表す。
  $\mathbf{a}_{i}$ と $\mathbf{a}_{j}$ が等しい場合、 $A$ の行列式は $0$ である。 すなわち、
同一の列ベクトルを持つ行列式は 0
が成立する。
同一の列を持つ行列式の証明はこちら

同一の行を持つ行列式は $0$

  $n$ 次正方行列 $A$ の $i$ 番目と $j$ 番目の行ベクトルをそれぞれ $\mathbf{a}_{i}$, $\mathbf{a}_{j}$ $(i \neq j)$ とし、 行列 $A$ を
と表す。
  $\mathbf{a}_{i}$ と $\mathbf{a}_{j}$ が等しい場合、 $A$ の行列式は $0$ である。 すなわち、
同一の行を持つ行列式は 0
が成立する。
同じ行ベクトルを持つ場合の行列式の証明はこちら

列ベクトルが定数倍された場合の行列式

  $n$ 次正方行列 $A$ の $i$ 番目の列ベクトルを $\mathbf{a}_{i}$ とし、 行列 $A$ を
と表したとき、$\mathbf{a}_{i}$ を定数倍した行列
の行列式は、 行列 $A$ の行列式の定数倍である。 すなわち、
列を定数倍した行列式
である。
列が定数倍された行列式の証明はこちら

行ベクトルが定数倍された行列式

  $n$ 次正方行列 $A$ の $i$ 番目の行ベクトルを $\mathbf{a}_{i}$ とし、 行列 $A$ を
行列式の性質09
と表したとき、 $\mathbf{a}_{i}$ を定数倍した行列
行列式の性質10
の行列式は、 行列 $A$ の行列式の定数倍である。 すなわち、
列を定数倍した行列式
である。
行が定数倍された行列式の証明はこちら

定数倍された行列の行列式

  $A$ を $n$ 次正方行列とするとき、 $A$ の定数倍の行列式は、$A$ の行列式の $n$ 乗倍である。すなわち、
定数倍された行列の行列式
が成立する。
定数倍された行列の行列式の証明はこちら

列ベクトルが和になっている行列式

    行列の列ベクトルが和で表される行列式は、次の関係を満たす。
列ベクトルが和になっている行列式
  すなわち、和のそれぞれの項を持つ行列式の和に分解できる。
列ベクトルが和になっている行列式の証明はこちら

行ベクトルが和になっている行列式

  行ベクトルが和で表される行列式は、次の性質を満たす。
行ベクトルが和になっている行列式
すなわち、 和の各項を行ベクトルに持つ行列の行列式の和に分解できる。
行ベクトルが和になっている行列式の証明はこちら

ある行に別の行を加えても行列式の値は変わらない

  正方行列の任意の行に他の行の定数倍を加えても行列式は変わらない。 すなわち、
ある行に別の行を加えても行列式の値は変わらない
とするとき、
ある行に別の行を加えても行列式の値は変わらない2
が成立する。
ある行に別の行を加えたとしても行列式の値は変わらないことの証明はこちら

  1 列の第 2 成分以降が 0 の行列式

  $n \times n$ の正方行列 $A$ の $1$ 列めの列ベクトルの第 2 成分以降が $0$ の場合、 すなわち、
1 列の第 2 成分以降が 0 の行列
と表される場合、$A$ の行列式は、次のように表される。
1 列の第 2 成分以降が 0 の行列式
1 列の第 2 成分以降が 0 の場合の証明はこちら