部分空間の基底を含む基底を構成可能

  $n$ 次元ベクトル空間 $V$ に含まれる $d$ 次元部分空間を $W$ とし、$W$ に含まれる $d$ 個の互いに線形独立なベクトル ($W$ の基底) を

部分空間の基底を含む基底00

とする。 この基底に、$n-d$ 個の互いに線形独立なベクトル

部分空間の基底を含む基底01

を追加することによって、$n$ 個の互いに線形独立なベクトル

部分空間の基底を含む基底02

を構成することができる。
  すなわち、 ベクトル空間には、 部分空間の任意の基底を含む基底が存在する。
最終更新 2016年 8月 13日


  証明

  $V$ は、 $n$ 次元ベクトル空間であるので、 $V$ には $n$ 個の線形独立なベクトル

部分空間の基底を含む基底03

が存在する。
  $(*)$ は、$W$ のベクトルであり、 $W$ は $V$ の部分空間であるので、 $(*)$ は、 $V$ に含まれるベクトルである。 従って、 $(*)$ を $(1)$ の線形結合によって表すことができる。 すなわち、

部分空間の基底を含む基底04

と表せる。 ここで、 $C_{ij}$ は、 線形結合の係数である。
  ここで、 ベクトル $\mathbf{c}_{1}, \mathbf{c}_{2}, \cdots, \mathbf{c}_{d}$ を

部分空間の基底を含む基底05

と定義し、

部分空間の基底を含む基底06

を仮定する。 成分で表すと、

部分空間の基底を含む基底07

である。 これより、

部分空間の基底を含む基底08

が成立する。 この式は、 次のようにも表される。

部分空間の基底を含む基底09

これは、 $(2)$ により、

部分空間の基底を含む基底10

と表せる。
  $(*)$ は互いに線形独立なので、 $(5)$ から、

部分空間の基底を含む基底11

が成立する。 以上から、 $(4)$ を仮定し、 $(6)$ が成立するので、 $\mathbf{c}_{1}, \mathbf{c}_{2}, \cdots, \mathbf{c}_{d}$ は、 線形独立である。
  ここで、 行列 $C$ を

部分空間の基底を含む基底12

と定義すると、 $C$ は列ベクトルが互いに線形独立な $d \times n$ の行列であるので、 $C$ を簡約化した行列 $C_{e}$ は、 基本ベクトルのみを列ベクトルに持つ次の形の行列になる。 すなわち、

部分空間の基底を含む基底13

の形になる (証明は列が線形独立な行列の簡約化を参考)。
  ここで基本ベクトルを

部分空間の基底を含む基底14

とすると、 $C_{e}$ は、

部分空間の基底を含む基底15

と表せる。
  ところで、 単位行列は、 基本ベクトルによって、

部分空間の基底を含む基底16

と表せるが、 これは、 $(9)$ により、

部分空間の基底を含む基底17

とも表せる。
  こうして表した単位行列 $I$ に対して、 $(7)$ から $(8)$ へと変形させる際に行った行基本変形の逆変換となっている行基本変形を行う。 すると、 $1$ 列から $d$ 列までの部分行列 $C_{e}$ は、 簡約化前の行列 $C$ へ逆戻りする。 その結果、 次の形の正方行列が現れる。

部分空間の基底を含む基底18

が現れる。 ここで、

部分空間の基底を含む基底19

の部分は、 $I$ の $d+1$ 列から $n$ 列までの部分

部分空間の基底を含む基底20

を行基本変形した結果として現れる列ベクトルである。
  単位行列 $I$ の列ベクトルは、 基本ベクトルであるので、 互いに線形独立である。 一方、 $C'$ は、単位行列 $I$ を行基本変形して得られる行列である。 このことから、 $C'$ の列ベクトルは、 線形独立であることが分かる。 なぜなら、 一般に行基本変形が列ベクトルの線形独立性を保つことからである。
  よって、 $C'$ の列ベクトル

部分空間の基底を含む基底21

には、

部分空間の基底を含む基底22

が成立する。
  ここで、$\mathbf{c}'_{d+1}, \mathbf{c}'_{d+2}, \hspace{1mm} \cdots \hspace{1mm} \mathbf{c}'_{n}$ の各成分を

部分空間の基底を含む基底23

と表し、 これらの成分によって、 ベクトル $ \mathbf{w}'_{d+1}, \mathbf{w}'_{d+2}, \cdots, \mathbf{w}'_{n} $ を

部分空間の基底を含む基底24

と定義する。
  $(*)$ の $d$ 個のベクトルと、 $(12)$ で定義した $n-d$ 個のベクトルを合わせた $n$ 個のベクトル

部分空間の基底を含む基底25

に対して、

部分空間の基底を含む基底26

を仮定する。 $(2)$ と $(12)$ より、 これは、

部分空間の基底を含む基底27

と表せるが、 整理すると、

部分空間の基底を含む基底28

である。
  $\mathbf{v}_{1}, \cdots, \mathbf{v}_{n}$ が線形独立であるので、

部分空間の基底を含む基底29

が成立する。
  $(3)$ と $(11)$ より、これらは、

部分空間の基底を含む基底30

と表される。 すると、$(10)$ により、

部分空間の基底を含む基底31

が成立する。
  $(13)$ を仮定して $(14)$ が成立したので、

部分空間の基底を含む基底32

は、線形独立である。
  このように、部分空間 $W$ の基底

部分空間の基底を含む基底32

に、上で定義した $n-d$ 個のベクトル

部分空間の基底を含む基底34

を追加することによって、 $n$ 個の線形独立なベクトル(すなわち、$V$ の基底)を構成することができる。
  言い換えると、 ベクトル $V$ には、部分空間 $W$ の任意の基底 $(*)$ を含む基底 $(15)$ が存在する。










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