行の余因子展開

  $n \times n$ の正方行列 $A$ の $ij$ 成分 $A_{ij}$ に着目し、 $A$ から $i$ 行目と $j$ 列目を取り除いた行列を小行列 $M_{ij}$ とする。すなわち、

行の余因子展開01

とする。
  このとき、$A$ の行列式は、

行の余因子展開02

と表せる。
  これを (第 $i$ 行の) 余因子展開という。ここで $|M_{ij}|$ は、小行列 $M_{ij}$ の行列式である。

最終更新 2015 年 3月 7日


  証明

  列の余因子展開 と同様の考察によって示すことができるが、ここでは、 その結果を利用して証明する。

  行列 $A$ の転置行列 $A^{T}$ の行列式を第 $i$ 列について余因子展開する。

行の余因子展開03

ここで $\tilde{M}_{ji}$ $(j=1,2,\cdots,n)$ は、行列 $A^{T}$ の $j$ 行と $i$ 列を取り除いた小行列式である。すなわち、

行の余因子展開04

である。
  転置行列の定義より $A_{ij}^T = A_{ji}$ であることから、


行の余因子展開05

と表せる。
  一般に転置行列の行列式はもとの行列の行列式に等しい。従って


行の余因子展開06

が満たされる。
  右辺の行列式は、行列 $A$ の第 $i$ 行と第 $j$ 列を取り除いた小行列 $M_{ij}$ の行列式である。ゆえに、

行の余因子展開07
を得る。
  この関係を $(*)$ に代入すると、

行の余因子展開08

である。
  左辺は 転置行列の行列式がもとの行列の行列式に等しいことから

行の余因子展開09

である。 一方で右辺は、転置行列の定義 ($A^{T}_{ij} = A_{ji}$) によって

行の余因子展開10

である。
  以上から

行の余因子展開11

を得る。






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